2017.08.30 小野 鎭
一期一会 地球旅 173 リンデンハウス 平和を願って広島へ(1)

一期一会 地球旅 173

リンデンハウス 平和を願って広島へ(1)

リンデンハウスでは、今年(2017年)の旅行は広島の平和記念式典に参列したいのでそれを目的にした計画を立ててほしいと相談をいただいた。4月中旬であった。原子爆弾で亡くなった方の霊を慰め、世界の恒久平和を祈念するため平和記念公園の原爆死没者慰霊碑(広島平和記念碑)の前において原爆死没者の遺族をはじめ市民多数の参加のもとにこの式典が挙行されている。1945年8月6日に世界で初めて原爆が投下されたこの日に因んで式典は毎年行われている。これにはだれでも参加できるが昨年5月に当時のアメリカ合衆国の現職大統領であるバラク・オバマが訪問したこともあってさらに関心が高まったことは記憶に新しい。 代表である中島三智子様からご希望をお聞きして早速旅行計画立案に必要な情報を探ることが最初の仕事であった。現役時代に二度ほど広島市を訪れているがお客様を訪ねてのとんぼ返りが一度、もう一回は前夜夕方着、かなりの雨が降っていたことを記憶している。一泊して翌日お昼過ぎまで会合があり、終わるとそのまま忙しく引き上げざるを得なかった。出張であるので当然といえばそれまでであるが、それでも暮れなずむ雨の中に立っている原爆ドームを近くまで行って見上げたのが精いっぱい。慰霊碑前に立つこともできなかったし、増して資料館を訪ねることもできなかった。取りあえずの日程素案をお客様に提示し、主要部分はできるところから予約もすることにした。時間的な制約があり、急がなければならなかった。しかし、実際に作業を進めていく上ではいくつかの難問があった。一つは前述したように旅行準備期間が4カ月足らずしかなかったこと、加えて平和記念式典参加などを含めて8月上旬から広島市内と宮島などの一帯は旅行最盛期といってもいいほどらしい。旅行手配はかなりむつかしいところもありそうだが何としてもお客様にご満足いただけるように頑張らなければ、と自らに言い聞かせて臨んだ。以下は、準備を進めていく上で掲げた要点である。
旅行目的は、1)平和記念式典参列と原爆資料館見学がメインであるが、これに2)人と犬が助け合える地域づくりを目指しているNPOの活動を見ること、そしてこの機会に3)厳島神社を参拝することの三つが大きな柱であった。旅行期間は2泊3日、当然8月6日をはさむので8月5~7日となる。主要交通手段は新幹線と現地は貸切バスで移動。宿泊機関の予約が最大の課題であった。8月6日前後は広島市内の主要ホテルや旅館はほとんど満杯状態、予算との絡みもあるのでどこでもいいとは言えないがとにかくどこか確保することが絶対条件。食事は名物のお好み焼きや穴子(アナゴ)が楽しみ、他に真夏の牡蠣(カキ)は大丈夫だろうか?既に述べたが広島県内での移動は貸切バスを予定しているがこれもまた夏の旅行最盛期とあってうまく見つかるだろうか。社では個人のお客様の介護旅行などはこれまでにもお取り扱いしているが今回のような団体のお世話の経験はなかった。従って、情報集めを急ぎながらできるところから準備を進めていった。
ホームページはもちろん、ガイドブック、そして大きく役立ったのは広島県東京事務所から得た情報であった。常套手段といってもいいが、海外であれば政府観光局、国内であれば多くの自治体が東京事務所を設けているので実際に足を運び、いろいろ質問したり、資料をいただいたりしている。平和記念式典は県ではなく、広島市の主催であるので市の担当部局へアプローチすることが得策であろうとの勧めはそれ自体が大きなヒントであった。   何といっても宿泊施設をどうするか、これは最大の難問であり、市内にある公共の宿らしきところや手ごろと思われるホテル等にも問い合わせてみたが14~15人の団体の予約はお手上げ状態であった。個人であれば手っ取り早くネット予約が可能であり、それならばなんとかなりそうであったが、この場合、それは使えない。
そこで、もっと幅を広げて見つけたのが市の東郊、海田町は、JR呉線矢野駅近くのビジネスホテルであった。週末であり、ビジネス客は少なかったのかもしれない。何はともあれ、ツインルームで必要な部屋数を予約することに成功した。式典が行われる6日は日曜日であり、少しは市内のホテルも空くのでは、と期待したが好転は期待できないことが分かった。そこで、お客様にはむしろ市内ではなく、宮島に宿泊することを提案した。これをご承知いただけたので本格的に宿探しを試み、幸い、老舗のホテルからいい返事をいただくことができた。
昨年もそうであったが、メンバーには歩行障害をお持ちの方はおられないのでアクセシブルルームは不要、予算との絡みは当然あるが、居心地の良いホテルであることが一番大きな希望であった。次いで、貸切バスを探すこと、これも大きな課題であった。式典前夜は、海田町に泊まるとすれば、かなり早い時間に出発しなければならない、多分4~50分はかかるであろう、そんなことを考えつつ、宿泊予定の「ビジネスホテルみやぢ」にタクシーあるいは貸切バスでの所要時間、バス会社についても心当たりを尋ねてみた。その結果、カープタクシーという会社が貸切バスも保有していると思うとの話を聞き、それをもとに同社に問い合わせた。そして、中型バスを2日間にわたって借りる予約を得ることができた。   いわば、旅行計画の躯体の目処が付いたので旅行代金の概算を算出し、旅行計画がほぼまとまったのは5月も終わりのころであった。
今回も参加者数はメンバーが9名、そして代表の中島様、ボランティアとして随行3名の方があり、そして今回も筆者が添乗業務、全体で14人であった。基本的なプランがまとまり、最大の目標である平和記念式典参列、続いて旅行の大きな楽しみである食事の手配、今回はそのほかに、宮島への往復の船の選択などがあった。第1日目はほとんど移動だけであるので貸切バスのドライバー氏から教えてもらいながら筆者が俄か勉強で案内することにして、2日目は式典と資料館見学、昼食と市内での移動などがありここは地元ガイドの手配をお願いすることにした。こうして旅行全体の大まかな手配の目処がつき、7月2日、参加予定者全員の顔合わせを兼ねた旅行説明会が行われた。ほとんどのメンバーは昨年、「秋の東北へ」ご案内しており懐かしさもひとしおであった。平和記念式典参列に寄せられている皆様の期待は予想以上。これから出発までの間にもっと確固たる準備をしなければ、と自らに言い聞かせた集いであった。 (以下、次号とさせていただきます) (資料、上から順に) 広島平和記念式典(広島市案内より) 広島においでよ(広島市コンベンションビューロー発行) ビジネスホテルみやぢ(広島県安芸郡海田町) カープタクシー(広島市安芸区) 広島県観光ガイドマップ(広島県観光連盟等発行) (2017/8/29) 小 野  鎭