2017.09.07 小野 鎭
一期一会 地球旅 174 リンデンハウス 平和を願って広島へ(2)

一期一会 地球旅 174

リンデンハウス 平和を願って広島へ(2)

広島への旅行手配はほぼ順調に進んでいったが、いくつか懸案事項があった。すべて例示するよりは、行程が進むごとに紹介させていただきたい。出発日が近づくにつれて、当日の様々な条件や環境設定を想像しながら、手を打っていった。中には当初の考えが甘かったこともあり、お客様にはご無理をお願いしたこともあったがそこはご理解いただき、うまく収めてくださり、ホッとした思いであった。 真夏の旅行最盛期が始まる8月5日は土曜日、広島の一つ手前の福山停車の「のぞみ」はあまり多くはないが、お陰様で、希望通り予約を確保してもらうことができた。2日後の帰路は広島からであるが、こちらもOK。一つ難関はクリア。ここで一つ、気がかりであったことは、東京駅での乗り換え時間であった。メンバー各位は五日市線の武蔵引田から拝島経由中央線で東京へ、土曜日の早朝はそれほど多くの選択肢はなかった。そこで6時26分発、東京駅着7時40分を当初はご案内してあった。この日の「のぞみ」は8時10分発、つまり、乗換時間は30分しかない。個人であれば十分間に合うが土曜の朝とは言え、中央線から新幹線の乗換口への移動は、メンバー各位の荷物と体力等を考慮するとほとんど余裕がないかも知れない。もし、遅延あるいは何かのトラブルがあると、肝心の新幹線に乗り遅れる心配がある。そこでもう少し余裕を見ていただくためには、始発の5時56分しかなかった。皆様に30分ほど、早くお発ちいただくことはいささか恐縮ではあったが、寮長の中島様にこれをお願いできないだろうかと相談した。もとはと言えばこちらからご案内した当初案であり、これをもっと早めていただくことは申し訳ないことであった。幸い、メンバー各位も承知下さったそうで、始発便で発ってくださることになった。やはり、相談してよかった!皆様の寛容なご協力が有難かった。
懸案事項であったもうひとつのこと。今回の旅行は往復新幹線、お昼時はいずれも車中になる。自然の成り行きとして弁当を召し上がっていただくことを提案した。そこで、今回も6月下旬に東京駅の東海道山陽新幹線への乗換口を下見に行った。いまさら東京駅の事前見学もあるまいと思われるかもしれないが、新幹線は昨年秋、仙台往復以来であった。東京駅構内、中央線から新幹線乗り場への導線を含めて、弁当購入の下準備などをうまく進めるためにはネット情報や電話ではやはり、不確実であり、安心できない。現業から遠ざかるということはそういうことなのだと認識を新たにする。新宿駅ほどではないが東京駅構内の混雑ぶりも驚くばかり。 普段は落ち着いて乗換通路の様子を眺めること等あまりないが、じっくり見ていると驚くばかりのあわただしさである。特に新幹線乗換口は通勤客のほか、旅行客でごった返しているし、くわえて外国人旅行者の数も近年驚くほど増えている。中央線のホームから中央通路を通って、乗換口まで実際に歩いてみる。新幹線は自由席の場合と指定席では乗換口も南側通路より、中央口の方が便利であることも改めて確認した。トイレのある場所も案内図と見比べながら実際に歩いてみるに越したことはない。
トイレはUD(ユニバサールデザイン)化された多目的用も幾種類かの表示がある。駅のトイレが快適になってきていることは目をみはるばかり、ついつい長居したくなる人も出てくるのかもしれない。 さて、課題は弁当購入である。土曜日の朝、7時過ぎに14人分の弁当をまとめて買うことは容易であろうか? “エキナカ”は近頃ますます名店街化しており、話題になっているが、こちらが予定している時間帯には果たして期待通り営業しているのだろうか? そんな理由からも実地に確かめておく必要があった。近年、駅弁は益々幅が広がっているようでメニューも値段もさまざま。中央通路にも大型の駅弁専門店からこじんまりしたところまで数店があった。 2店ほど様子を聞いてみたところ、小さい方は早朝であれば数日前までに電話で予約してほしいとのこと、一方、大型店では予約は受けないが朝5時半には開店する、同じもの10数個同時に品ぞろえできるかどうかはわからないが2~3種類を数個ずつ買うことで対応できるとのことであった。
この場合、内容の違いはあっても値段は同額かそれに近いことが条件となる。この店はとにかく繁盛しているらしく、値段の高いところから安いところまで、内容もそれに従って思わず手を伸ばしたくなるようなものもたくさんあった。カウンターには店員が10名近く並んでおり、好みの弁当を買い物かごに入れたお客がずらっと並び、大声でやり合っている。にぎやかというよりは喧騒といったほうが良いかもしれない。こちらが手ぶらで並び、いくつも立て続けに質問したため、ほとんど心ここにあらずといったような態度であった。わずかの時間も惜しいほどの忙しさであることがありありとうかがえた。いささか、不快な気分を余儀なくされたが、この忙しさではそれも仕方あるまい。いろいろ考えた挙句、予約は取ってはくれないが、この大型店で買うことを暗に決めてその日の下見を終えた。果たして、土曜日の早朝はどうであろうか、このような様子を見るとやはり事前に見ておいてよかった、というのが正直な感想であった。弁当をここで買うことを前提として、メンバーとはこの店の前にお出でいただくことをお願いすることにした。
出発日、8月5日の朝、筆者も6時半前にはこの場所に着くようにと、家を出た。幸い、好天であり、今日、あすと広島方面は晴天らしい。暑さは東京以上らしいが仕方がない。気がかりなことは、のろのろ台風が奄美大島辺りから九州南部へ向かって動き始めたとのことで旅行中に近づいてこなければいいが、と願うことしきり! 地下鉄の駅を出てJR東京駅丸の内口に着いたのは、6時半少し前であった。あたり一帯はひっそりしており、まさに嵐の前の静けさとはこういう状態をいうのだろうか? 中央通路を入っていくと一気ににぎやかさを増していった。
通勤客らしい姿もちらほら見かけるが圧倒的に多いのは旅行者スタイル、外国人のグループもいくつかあった。新幹線は順調に動いていることを確認してほっと安堵する。すでに、大型の弁当店は戦場のような有様。数か所に分けておいてある弁当の山を見て品定めをする。打ち合わせでは、前もって弁当を求めておくことになっているので、孤軍奮闘しながら、皆さんに喜んでもらえるようにと期待しつつ、予算も考えながら2種類の弁当を購入することができた。後は、メンバーの到着をお待ちするのみ。先ほど、中島様にメールしたところ、阿佐ヶ谷付近を予定通り通過中と連絡を得ていた。メンバーとは別に来られる男性の随行ボランティアK氏と連絡したところ、目下そちらへ向かっているとのこと。
ところが弁当店の前でお待ちしますと約束はしてあったものの、弁当の大きな袋が二つ、自分のスーツケースとリュックサックを背負って待っていると通路を行き来するたくさんの旅行者の邪魔になってしまい、それが不都合であることは歴然としていた。止む無く、皆さんとの約束を違えて、新幹線中央乗換口のやや広いところへ動き、そこでお待ちすることにした。間もなく到着されたK氏に事情を説明し、氏に弁当店前あたりに立っていただくことにした。集合場所を変更することは混乱を招く元であるが、この場合はそれもお許し願うしかなかった。それから10分後くらいであっただろうか、メンバーは、予定通り到着されて中央線ホームから新たな集合場所に整然とお集まりいただくことができた。携帯電話の便利さを改めて感じたひと時であった。 (以下、次号とさせていただきます。) (資料 上から順に。写真は2017/6/22&8/6撮影) 東京駅中央通路(丸の内側から八重洲方面へ) 同上中央通路一帯の案内図 大型の駅弁専門店「駅弁屋 祭」 6月22日(木)午後の様子 平和を願って広島へ 携行旅程表紙 駅弁屋 祭 8月5日(土)午前7時頃の盛況ぶり 新幹線中央乗換口、階段の上で皆様をお待ちすることにした。 (2017/9/5) 小 野  鎭