2017.09.14 小野 鎭
一期一会 地球旅 175リンデンハウス 平和を願って広島へ(3)

一期一会 地球旅 175

リンデンハウス 平和を願って広島へ(3)

8月5日朝、メンバーは中央線で予定通り到着、この日、午前5時56分に武蔵引田を発っておられるので多分4時頃には起床されたのであろう。東京駅の新幹線乗換口でお会いしたときは、いよいよ出発とあって明るい笑顔で挨拶が交わされた。別行動で到着された随行のIさんとKさん、添乗員である筆者を加えて14名、全員予定通りお集まりいただくことができた。皆さんの爽やかな笑顔が嬉しい。新幹線の指定席券を配っていただき、いよいよ乗車に備える。昨年は、この時点で切符が一枚不足という事態が起きて少し慌てたが、その一枚も見つかり、ほっとしたことを思い出す。今回はその時の経験からも一層丁寧に保管いただき、とてもスムーズであった。 東海道・山陽新幹線のぞみ15号は8時10分発、多分、10分くらい前には入線するであろうから、と7時50分ごろにホームに上がってみた。ところが待つ間もなく、予定していた車両が到着。立ち止まることもなく、6号車に乗車してとりあえず所定の指定席に着座。中島寮長の指導でメンバー同士、あるいは随行スタッフが一人ずつ陪席することで全員が落ち着いた。福山着は、11時52分であるので4時間弱、順調に走ってほしい。そこで、件の弁当登場。夏の味取り合わせと焼肉弁当の2種類。メンバー各位にどのように配るか、それぞれの好みもあるので難しいところであるが、その分け方はKさんが係り、みんなと相談しながらほとんどもめることもなく、数分間で大きな紙袋は空になった。見事な采配ぶりである。これはこの日の昼食であるので新大阪を過ぎたころから食べることとして代表から皆さんに伝えられ、こちらも手抜かりは無かった。もう一つお願いしたことは、福山駅からは貸切バスで犬の保護施設へは午後1時に行くことになっていること。
福山駅からはすぐに出発しなければならないので、下車する前にぜひ用を済ませておいてほしい、駅に着いたら休憩とトイレに行く時間的な余裕がないことについても念を押させていただいた。それやこれやの案内とお願いをしているうちに、いつしか「のぞみ」はかなりの速度で走っており、品川を過ぎて多摩川を渡っていた。そして、新横浜に近づくころには舟を漕いでいる人もいた。 福山には予定通り到着。ホームに出ると同時に先ずやるべきことは貸切バスの運転手に連絡を取り、駐車場所を確認することであった。今回は、カープタクシーの貸切バスを2日間貸切ということで契約してあり、ずいぶん細かくやり取りをしてきた。この日の行程はまず、神石高原町にあるピースワンコ・ジャパンを訪れること、その後、今夜の宿泊地である海田町のホテルに向かうことになっている。そして、翌早朝、発って平和記念式典に参加するべく、平和記念公園へ向かい、午後は宮島口まで行く。第2日目はガイドを準備すること、それがこの会社との契約であったが、実際には、経由各地のこと、夕食、朝食、そして昼食など食事の場所に関することについて紹介してもらうなど、多くのことを教えてもらった。そのたび、担当の若い女性(だと思う)社員Kさんは丁寧に応じてくれた。貸切バスそのものは、中型ということで聞いていたが、実際には大型であった。猛暑続きであり、ゆったりした大型バスで動けることは有難いことであった。
福山駅北口前広場は細長く伸びており、正面には福山城が整った美しさを見せていた。すでにかなりの暑さになっていたが、バスまで旅行鞄を引っ張って歩いていただき、あまり時間をかけることなく出発することができた。ドライバーのU氏は寡黙な人であったが慎重に運転しながら、必要な情報はきちんと答えてくれた。やはり、神石高原町の目的地までは1時間余はかかりそうである。そのことは当初から聞いていたので、先方には午後1時には少々遅れるかもしれないが、間違いなくお邪魔するので了承いただきたいと予めお願いしてあった。   市街地を抜けて、ほとんどまっすぐ北上する。郊外風景がしばらく続いていたが、次第に建物も少なくなり、一面に緑が広がり始めた。さらに丘陵地が多くなる。中国山地に入って来ているのだろう。途中、十数戸くらいの集落がいくつかあった。どの家も東京あたりと比べるとかなり大きいようである。地価の違いが大きいと思われるので建物にはかなりの金額が投じられているように見える。興味深いことは、屋根は圧倒的に瓦葺きが多く、それも多くの集落が申し合わせたように黒であるが、次の集落では見事に赤瓦であった。そこには一軒も黒瓦を見かけなかった。勝手な考えを言わせていただければ、同じ集落で別の色の瓦を用いることはよほど勇気が要るのかもしれない。このような地方色を見ることが旅の楽しみである。そんな風景を見ているうちにバスは丘陵地の上へあがっていき一面かなりひろくうねった大地になっていた。海抜700mくらいであり、町名である神石高原町の由来がわかるような気がする。
一帯は「高原ティアガルテン」と名付けられており、これから訪ねるピースワンコ・ジャパンだけでなく、動物や自然と触れ合いながら遊び、学ぶことができるようにというレクリエーション地帯となっている。数日前、先方に電話したところ、この週末(8月5~6日)は町を上げてのイベントが開かれており、北陸からであろうか雪を運んできてゲレンデも作られているらしい。道路には長い駐車の列が続いていた。NPO ピースウィンズ・ジャパンでは、「人と犬が力を合わせて、社会を元気にする日本初の三位一体モデルを創ります」として、元気溢れる地域社会
づくりを目指して、犬と愛犬家の楽園、災害救助犬・セラピー犬育成、そして殺処分ゼロへのチャレンジとして活発な活動が行われているとのこと。中島寮長はかねてより、この活動に共鳴して支援されており、この機会にぜひ訪ねたいということで組み込まれたプログラムであった。ドッグランでは犬たちが楽しそうに走り回っていたし、犬舎では保護された犬が元気に吠えていた。若いスタッフたちが活発に活動している様子がうかがえた。保護された犬たちは新しい飼い主のところで第二の人生(犬生?)を送ったり、災害救助犬として訓練を受けて尊い人命救助の一役を担っている犬もある。夢之丞(ゆめのすけ)は、昨年の熊本地震でも大活躍してきたとのこと。  
依然として暑い午後ではあったがそれでも高原の風は心地よかった。メンバーは犬とのふれあいを終えてラウンジで一休み、そして、いよいよ今夜の宿泊地である海田町を目指してピースワンコを後にした。 (以下次号とさせていただきます) (資料、上から順に、写真はいずれも2017年8月5日撮影) 何といっても弁当は楽しい! 旅行行程図、右端の南側が福山、北側に神石高原町。 ピースワンコ・ジャパンでは、犬舎の見学も先ずは訪問者の足元も消毒して! 同上、スタッフから活動について説明を聞く。 見学を終えて。 (2017/9/13) 小野 鎭