2017.11.03 小野 鎭
一期一会 地球旅 182 リンデンハウス 平和を願って広島へ (11) 宮島にて(5)
待つこと暫し、メンバーは厳島神社の参拝と見学を終えたのち、弥山(みせん)山頂へ行ったり、土産物店など町中をぶらぶらした後、4時半ごろ帰館された。ところが弥山グループはロープウェイが動いておらず山頂には行けなかったとのこと。止む無く山麓駅まで往復したついでに町中をぶらついて帰ってきたとのこと。台風が近づいていたため、山頂付近では風が強く止まったのかもしれないそんな話であった。まだ町内一帯ではほとんど風も吹

いておらず、空は眩しいほど晴れて午後の暑さが続いていた。 しかし、山の上ではそろそろ風が強まっていたのだろうか? それとも、引き続き山の上へお客を運んでいれば、その人たちが下りるまで、つまり夕方一定の時間まではロープウェイを動かさなければならず、途中で運行を中止するわけにはいかない。そんな安全確保上の理由があったのではないだろうか。一方、街歩き組は興味深い風景を見たとのこと。神社近くの土産物店の前で地図をのぞき込んでいた外国人旅行者が、折しも、近くに出没していた鹿が近寄ってあっという間にその地図を食いちぎったそうでちょっとした騒ぎがあったとのこと。シカもはるか昔からこの島に生息しており島の大切な住人(?)、観光協会ではシカの習性についても観光客向けに注意しているがそれでも時々起きるハプニングらしい。

それぞれの

    グループにいろいろなハプニングを経験されたわけで結果的には「忘れられない思い出になった」と10月始めに行われた夏の旅行の懐メロの会(旅の印象を語りあったり、写真交換など)で改めてその時の出来事が懐かしく語られていた。たくさんのお客様をこれまで230余回にわたってご案内してきた。最初の添乗経験は半世紀以上も前のことであり、ご案内したお客様の名前など今となってはほとんど覚えていないが、何かの予期せぬハプニングがあった旅行は今もその時のことを思い出すし、であるからこそ、忘れられないのかもしれない。勿論、楽しい出来事は大歓迎、しかし、中には二度と経験したくないというようなこともある。   フリータイムの楽しい思い出はまた夕食後の団欒の時間に語っていただくこととして、先ずは皆さんにお部屋へお越しいただくことが肝心。前夜はビジネスホテルでの素泊まりであったが、ここグランドホテル有もとでは女性4人ずつ2部屋、男性5人1室でお泊り頂くことになっている。予約段階でのホテル側との交渉
の中で宿泊室は、個人客は概ね、海側、団体客は山側であることを承知していただきたいとの条件であった。ホテルは前述したように弥山山麓に広がる町の奥の方に位置しており5階建てであったと思うが、海側から眺めると厳島神社の後ろ側にあたる。3階以上くらいであれば、海側の部屋からは神社はもちろん、大鳥居や広島湾の風景が広がり、なかなか見事な風景を楽しめるらしい。一方、山側の部屋は、緑濃い森の風景が広がり静かな「たたずまい」であろうと察した。このことは当初から提示されていた条件であったのであらかじめ説明会では皆さんにおことわりしておいた。ところが後から見せていただいた写真では窓からは海も見えており、まずまずの風景であったらしく部屋に対してのクレームは無かった。これはこれで私にとってはうれしいハプニングであった。   夕食は、瀬戸内の海の幸が盛られた海鮮御膳、ささやかではあったが広島湾の名物の牡蠣(カキ)も添えてあった。この日は、早朝4時起き、5時にはバスで平和記念公園へ向かい、今回の旅行の最大の目的である広島平和記念式典に参加、その後、資料館を見学、午後は宮島へ渡り、厳島神社参拝と見学そして町中(まちなか)の散策など長い一日であり、厳しい暑さの中であったのでいささかお疲れであっただろうことは否めない。しかし、若さと旺盛な好奇心は羨ましい限り、和気あいあいの夕食会、なかなかの盛況であった。食後は中島代表の司会でメンバーと随行スタッフが個々に旅の印象を語っていただいた。   昨年の旅行、「
秋の東北へ」では、宮城県の松島湾から南三陸へ東日本大震災の被災地を訪れ、犠牲となった方への祈りを捧げ、復興が進められている様子を目の当たりにした。今回は平和記念式典参加と広島市内は旅行シーズン最盛期とあって旅行手配の難しさは昨年以上であったがそれも無事ここまで来ることができたと内心嬉しく思っていた。ところが、最後に起きた文字通りの降ってわいた出来事があり、予定通り帰路に着くにはまだまだ試練があった。

(以下、次号とさせていただきます。)

  資料 上から順に。 宮島ロープウェイ(同社資料より借用) 宮島のシカ(宮島観光協会資料より借用) 夕食で乾杯の準備中! (2017/8/6) 食事を終えて記念撮影 (同上)   (2017/11/3) 小 野  鎭