一期一会 地球旅 212 イタリアの美とスイスの絶景を訪ねる旅(4)

一期一会 地球旅(212)
イタリアの美とスイスの絶景を訪ねる旅(4)

 ルネサンスの花が開き、14~16世紀に大発展を遂げたフィレンツェ、中心部にある旧市街はそれ自体が今も野外美術館のような存在である。シニョーリア広場に続いて、ドゥオモと呼ばれ、日本では、「花の聖母大聖堂」と訳されているSanta Maria del Fiore一帯は、観光客があふれ、通りを歩くことさえままならぬほど。大聖堂や鐘楼には入場するための長い列ができている。ウフィッツイ美術館も同様。レオナルド(ダ・ヴィンチ)の「受胎告知」やボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を鑑賞した。「聖家族」はフィレンツェに残るミケランジェロの唯一の作品であるが丸く小さな画面が珍しく、印象的であった。午後のフリータイムはメンバー全員、タクシーに分乗してミケランジェロ広場まで上がって、世界文化遺産「フィレンツェの旧市街」の展望を楽しんだ。個人的には、この広場に来るたびに、初めてフィレンツェを訪れたのは1966年11月、「マイケルアンジェロ」と聞いて何のことかよくわからず、頭の中が真っ白になったことを思い出すことであった。

フィレンツェで2泊して、列車でスイスのツェルマットに向かうというのが次の日の予定であった。ミラノで乗り換えてスイスのブリーグへ向かい、さらに乗り換えてアルプスのやまふところへ向かうのはすべて鉄道移動。フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェラ駅(Firenze S.M.N)出発は午前10時。イタリアの鉄道や駅ではこれまでトラブルに遭うなど苦い経験をしており、スムーズにいくことを願っていたが、今回もいくつかのハプニングがあった。

グループ旅行で鉄道を利用するときは、多くの場合、駅には1時間くらい前には行くことにしている。大きなスーツケースを運ばなければならないし、土産物を買うとか、トイレも必要。列車やプラットホームの乗車位置などを確認しておくことが必要である。ドイツやスイスなどでは、駅の構内に発着列車の掲示板があり、プラットホームへ行くと、各列車編成図の案内がある。プラットホームの停車位置もおおむね見当がつくようになっており、信頼度も高い。日本的感覚からもそれが当たり前だと思っている。ところがイタリアの場合は、それが通じないことが多い。 各列車の基本的な発着時刻は掲示されてはいるが、その日の各列車の発着時間とプラットホームは、電光掲示を見ても、それぞれの列車の10~15分くらい前のものしか案内されておらず、なかにはそれが急に変更されることもある。自分の知る限り、この国では、列車運行が乱れるのはよくあることで、そのため、プラットホームがたくさんある大きな駅では入線予定さえも変わることがある。(今は、以前より改善されていると願っているが・・・)この時も、最終案内が表示されたのは15分くらい前であった。荷物はポーターに運んでもらうとしても、グループ全員で長いプラットホームを移動するのは一仕事である。

ミラノまで1時間45分、イタリア経済の要を成すミラノは都市圏も広く、その中心部に中央駅がある。ローマやフィレンツェほどにはこの町には来ていないので馴染みも薄いが、この駅には幾度か立ち寄ったこともあり、その豪華さはチラッと見てはいる。ミラノ・ツェントラーレ(Milano Centrale)と呼ばれるこの駅は、正面玄関の幅200m、内部の天井高72m、大理石造りの建物の内部は、鉄とガラスで覆われた壮麗な建物で、建築家フランク・ロイド・ライトが「世界で最も美しい駅」と称したという。構内には、案内所や出札口は勿論、キオスク、カフェ、レストランなどがある一方、他のヨーロッパの駅と同じように改札口はないのでプラットホームは自由に出入りできる。

次のバーゼル行きの列車への乗り換え時間は40分間、メンバーにはそれぞれスーツケースを下ろしてもらって人数と荷物の個数を確認していると空(から)の手押し車を押した若者が近づいてきた。全員分の荷物運びと次の列車のホームへ案内するという。ユニホームらしき服装ではあったが、名札も着けておらず、キャップも被っていないのでちょっと変だな、とは思ったが時間的制約もあり、次の列車の号車番号らしきところへ行き、列車の入線を待った。予定通り、列車は入線してきたが、スイス鉄道ではなく、イタリア鉄道の車両であった。団体切符にある号車に乗り込み、荷物も運び込んで出発を待ったが、若者が請求してきたのは70ユーロ(当時の金額で約8千400円)。多分正規ポーターの2倍近い金額であったと思う。ボラれた!と思ったが後の祭りであった。

ミラノからブリーグまでは1時間50分。この間、列車食堂でランチを摂るため、手配会社からもヴァウチャー(手配済み確約書)を入手していた。ところがこの日のイタリア鉄道では、列車編成そのものが何かの理由で変更されていた。予約席も確保されておらず、食堂車そのものが無く、飲み物などの車内販売のみ。走り出した列車の中で、車掌に手配内容を提示し、クレームしたが、肩をすくめるだけで、自分では何もできないので駅に着いて文句を言ってほしいと言い訳するのみ。この日は車内での昼食と車窓から湖水地帯やアルプスの風景などを楽しんでいただけると目論んでいた。何とか必要な空席数は見つけたもののそれぞれバラバラに座ることになり、何とも苦い列車旅行となってしまった。そんなわけで今もイタリアの鉄道にはアレルギーを覚える。

空腹のまま、シンプロントンネルを抜けるとスイスのブリーグ。すっきりしたプラットホームに降り立ち、次のBVZ鉄道(ブリーグ・フィスプ・ツェルマット鉄道)の出発まで40分間の待ち合わせ。構内にあったキオスクでサンドイッチや飲み物を買い求め、メンバーには腹ペコの一時しのぎをしてもらい、ツェルマットへ向かった。16時14分、やっと最終目的地へ到着することができた。ちなみにこの集落では、環境保全のため、ガソリン車は使われておらず、タクシー兼荷物運搬車として電気自動車が使われている。ホテルまでは徒歩10分程度、見上げるとマッターホルンがチラッと姿を見せ、やっとこの日の宿に落ち着くことができた。 ミラノからの鉄道のトラブルについて、皆さんには迷惑や面倒をかけてしまったことをお詫びして夕食までの小休止。ホテル近くのカフェでは我がグループの女性陣がお茶のひと時を楽しんでおられた。

 (以下、次号)

写真&資料(上から順に。ことわりのないものは筆者撮影)
フィレンツェのミケンランジェロ広場にて(筆者は左端:2011年7月15日)
フィレンツェSMN駅(サンタ・マリア・ノヴェラ)の列車出発案内 10時発、ミラノ行。
9時半ごろにはまだプラットホームの番号は示されていない! (2011年7月16日)
ミラノ中央駅(Milano Centrale)構内 (Wikimedia Commons July 2011より借用)
ブリーグ駅、入線中の列車はスイス鉄道、ミラノからはこれに乗りたかった!(前年の2010年筆者撮影)
ホテル近くのカフェにて、長旅の後でも女性陣はやはり元気!(2011年7月16日)

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【あ・える倶楽部】の篠塚千弘です。
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