世界一美しい空を見に行こう(北の大地に遊ぶ・・・) 

世界一地美しい空を見に行こう

フィンランドの旅

1、はじめに、

さる3月7日から15日までフィンランドは北極圏のさらに北のラップランドに「世界一美しい空を見に行こう」のご一行を案内してきた。企画は、さいたま市浦和区にあるNPO法人で、障害児者の余暇支援、緊急一時預かりなど障害福祉分野における先駆的活動を実践しておられる地域福祉事業体である。「どんな人も幸せを追求していい、笑ってこその人生」として様々なプログラムを実践しておられ、いつもホールや作業所からは弾んだ歌声が聞こえ、明るい笑顔にこちらも楽しくなる。

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法人の代表であるY氏とは20年以上のお付き合いをさせていただいており、2001年に事業体を立ち上げられて様々なサービスを展開してこられた。プログラムの中には、日帰りの小旅行や霞ヶ浦でのアクセスディンギと呼ばれるヨット、夏の信州での牧場や川遊びなどもある。このようなプログラムのほかに、数年前から海外旅行も企画され毎回15~16名の参加がある。テーマはずばり「世界一・・・」である。2008年は、「世界一美しい海を見に行こう」とパラオを訪れた。厳密な意味での世界一は何らかの確証がなければならないが、筆者が提示したいくつかの案の中から企画者である法人でそのように表示されて、利用者の方々に呼びかけられた。パラオのロックアイランドは2012年にユネスコの世界複合遺産として登録されたのであながち的外れではあるまい。2010年は、「世界一美しい山を見に行こう」というテーマ。世界一高い山はあるが、美しい山というのは人それぞれに思い思いであり、数限りない。筆者は長年の経験とこのグループの願いをできるだけ多く満たしたいと思い、スイスはベルナーオーバーラントのミューレンを推し、シルツホルンへお連れした。雲海の向こうに広がるユングフラウ山塊の荘厳な光景を前にして上がった大歓声は今も忘れない。こちらも世界遺産である。

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今回は、「世界一美しい空を見に行こう」、具体的には、オーロラを見たい、ということであった。オーロラなら、アラスカ、カナダ北部、あるいは北欧などが考えられる。日本からの距離や所要時間、現地事情などいろいろな条件に基づいて次第に目的地を絞っていこうと考えていたが、お客様からは、今回はフィンランドにしたいと提示された。Y氏の義母様が元ジャーナリストで以前に現地訪問の経験もおありで、フィンランドに友人がおられる。そのお友達も協力してくださるだろうし、素晴らしいところなのでぜひ来てください、とのお誘いもあったとのこと。このグループでは、旅行先で観光を楽しむだけでなく、現地の人と交流したり、何かに挑戦したり、もう一歩踏み込んで各地をもっと深く知ることも旅の大きな目的としておられる。このような理由からフィンランドの首都ヘルシンキとラップランド地方に行こうということになった。

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2、旅行計画から出発まで

旅行準備は1年数か月前から始まったが実際には2012年3月18日のフィンランドキャンペーンが皮きりであった。旅行計画立案にあたっては、現地手配会社から得たヒントや現地事情が大変役に立った。筆者自身、過去に7~8回はこの国を訪れているが多くは首都ヘルシンキと周辺であり、ロヴァニエミとサンタ村は17年くらい前に一度訪ねたきりである。まして、北極圏からさらに北へ200㎞あまりの地域などは未経験であり、加えて3月とはいえ極寒の地であると聞いている。氷点下25~30℃の世界はずっと昔、北海道で一度経験したことしかない。交通機関や観光、オーロラ探勝、車いすはうまく動かせるのだろうか? 寒さにはうまく耐えられるのだろうか?などたくさんの疑問もあったので現地事情を徹底して知ることとなど詳しく学ぶ必要があった。

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北欧では、9~4月がオーロラを見るに良い時期らしいが、事業体や参加希望者の都合と現地の旅行事情など多方面から類推して3月の上中旬に9日間とすることが決まった。この時期、オーロラ鑑賞のチャンスは60%くらいの確率だとか。10月もチャンスは高いらしいがこの時期は旅行者も少なく、現地のホテル等観光業者は休業しているところも多いとのこと。かねてより、お客様には旅行計画立案にあたってはできるだけ余裕のある日程とすることをお勧めしている。特に、自然相手の観光は天候に左右されることが多い。旅行先に行ってもせっかくの願いが悪天候のために叶えられないと何とも辛い話であり、申し訳ない気持ちにさえなる。加えて、障がいの重い方もおられ、旅の疲れなども出てくるであろうことを含めて、プログラムはあまり欲張らないこと、日程には休養日やリラックスする時間を設けるなどハードなスケジュールは避けることを提案してきた。

参加の呼びかけにあたっては、この旅行の目的と現地の様子、旅行条件、特に厳寒の地であること、オーロラは自然現象であって必ずしも確約できることではないことも含めてご案内した。さらに、ご参加の申し込みにあたっては、主治医や健康などに関する専門家の同意なども得ていただきたいとお願いした。3回のキャンペーンと説明会を経て11月に参加希望者22名様との連絡を受けたがその後個人的な理由などで取りやめの人もあり、最終的には18名様が参加されることになった。この中には、車いす使用の方2名、知的障害、自閉症、高次脳機能障害の方など各1名がおられた。全体の年齢層は10歳(小学生)から70歳代まで幅広い層である。事業体のスタッフやご家族なども参加され、和気あいあいの楽しいお仲間であった。

3、行程

成田~ヘルシンキ(1泊)~車中泊~ロヴァニエミ(1泊)~ムオニオ(ハリニヴァ・ホリディ・センター3泊)~ヘルシンキ(1泊)~機中泊~成田という7泊9日間。

ハリニヴァは、ロヴァニエミから北北西へ230㎞あまりのムオニオの町外れにある。主たる目的地としてここを選んだ理由は、こちらのほうがオーロラ見物と日中のアトラクションは遠くまで出かけなくてもホテル周辺で十分楽しむことができるし、車いすの方にも動きやすいであろうとの判断であり、旅行手配途中で得た現地の様子などからお客様に説明して了承を得た結果であった。

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4、旅行手配と実際

1)航空便

成田からヘルシンキまでの往復のほか、ラップランドのキッティラからヘルシンキまでの帰りを航空便で結んだ。フィンランド航空の対応はとても良かった。キッティラ空港にはボーディングブリッジがなく、タラップのみである。氷点下17℃で白一色の空港であったが滑走路はもちろん除雪されており、屈強な空港スタッフ2名で車いすのお二人と現地の搭乗客一人(男性)を機内へ手際よくお連れしてくれた。

また、ヘルシンキのヴァンター空港は水平移動が長く、空港内にはお店も多く、加えて乗り継ぎ客も多い。従って、時間的余裕を持ち、集合場所と時間をわかりやすくお客様にご案内することが大切であると感じた。

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2)バス

ヘルシンキ市内は大型リフト付きバス、ロヴァニエミを含むラップランドでは、リフト付きタクシーまたは10人乗りの小型バスと普通車の2台で観光や移動をした。ロヴァニエミではガイドも二人手配した。運転手は総じて英語が達者であり、助かる。今回の関心事の一つに道路事情があった。凍結した道路では自動車交通はどうなのだろう、スリップや雪に埋もれてノロノロなんてことはないだろうか? 結論から言うと杞憂であった。手配会社の説明でも心配はないとのことであったので信じてはいたが実際に現地に行ってみなければわからない。最初にヘルシンキ到着後、市内までの貸切バスに乗ってみて分かった。高速道路も市内の一般道もよく除雪されており、道路わきには雪が積まれてはいるが、凍結止めの岩塩と砂などがまかれ、車はスムーズに走っている。ほとんどスパイクタイヤを使っているそうである。ラップランドでもハイウエイでは時速80㎞以上で平気で走っている。余談であるが、ハリニヴァでは、今回の滞在中、-33℃を経験したが現地では日本車もたくさん走っている。寒冷地向けに作られているのだとは思うがなんだかとても頼もしく思えた。

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3)鉄道

毎回の旅行で意識していることの一つに移動のための交通手段がある。単なる移動ではなく、できるだけ楽しみや効率的な交通手段を講じている。今回は、ヘルシンキからロヴァニエミまで900kmを鉄道で走った。夜行寝台列車で愛称がサンタクロース。2階型の寝台車で上下2段のベッドからなるコンパートメントが1階に11室(22人)、そのうちの1室は車いす対応で車両の一番端にあり向かい側には車いす対応のトイレがある。トイレには幼児用のオマルもおいてあった。洗面台は機能的、車いすの方が使うときは前に引っ張り出すことができる。車両の反対側の端には普通のトレイとさらにシャワーがある。2階に8室(16人)、こちらの各コンパートメントはいずれもシシャワー/トイレ付き、追加料金が必要。車両内のつくりはとてもよくできているが車いすコンパートメントは1車両に一つしかないので今回は2両に分かれざるを得なかった。このことは、当初からわかっていたので前後につながった車両にしてほしいと強調しておいたが残念ながら10両も離れていた。この間の移動は普通歩行でも片道10分近くかかる。今後の参考にしたい注意点である。コンパートメント内は手ごろな広さであるがスーツケースを広げるにはちょっと狭い。車中で必要な荷物は乗車前に別の手荷物として準備しておくほうがよさそうである。また、乗車する車両にもよるが、食堂車までは列車内の移動が長いこともあるので飲み物や食べ物(弁当など)をあらかじめ準備しておくことを勧めたい。車内販売がないので自給自足を旨とすべし。我々は、これも手配会社の勧めで弁当を準備しておいて好評であった。列車の旅は快適であった。

明け方、どこまでも続く白一色の大地が広がり、その雪原のはるか向こうに鈍色の朝日がまぶしい。どこまで走ってもその景色が続く。思い出したように時々民家があり、ゆっくり煙が昇っていた。1時間遅れでロヴァニエミに着いたが列車内の案内では遅れの説明もなければことわりのアナウンスもなかった。乗客はだれも文句を言わないし、おっとりしたもの。実はヘルシンキ出発当初から、1時間近く遅れており、その説明もお詫びもなかった。おおらかなものである。やはり余裕のある日程はたいせつである。ロヴァニエミの駅は白一色、吐く息が白い。一気に冷気が鼻から入り、目が覚めた気分である。空はどこまでも青く凍てついた大地は真っ白。駅の気温表示を見ると-16とあった。

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4)ホテル

介助スタッフや人数割り等の都合があって、アクセシブルルームはトリプルのご希望をいただいたが今回のホテルではいずれもエキストラベッドを入れると部屋が狭くなる。車いすでは動きにくいであろうとのホテル側からの説明があり、1名の介助スタッフが車いすのお客様と同室、もう一人の介助スタッフはそれぞれのアクセシブルルームから至近の部屋を取ることで我慢していただいた。ハリニヴァでは、4~6人利用可のアパートメントタイプの部屋があり、これを3~4人で使っていただいた。これらの部屋にはキチネット(台所セット)もついており、ファミリーにも好評であろう。平屋建てのブロックにあり、いずれの部屋も広いので車いすの方にも使いやすかったと聞いている。

●シャワー/トイレ付の部屋

北欧のホテルで日本人に不評なことが一つある。浴槽ではなく、シャワー/トイレの設備が多いことである。多くの場合、ホテルにはサウナがついており、北欧人が一般に浴槽よりシャワーを好む傾向が強いことも背景としてあると思う。今回もほとんどシャワーしかついていなかった。お客様の中には、浴槽を強く希望される方もある。 ハリニヴァでは幸い、貸切サウナには屋外ジャクジーが併設されている。 これを男女各1日ずつ借り切ってご利用いただいた。このサウナはホテルとは別棟であり、ジャクジーは通路を挟んだムオニオ川の岸辺にある。サウナで火照った身体、凍った通路を10m走ってさうなにとびこむ。 歩行障害のある方はみんなでお連れした。 真っ白の雪原を前にして外気温-15℃、聞いただけで震えてきそうであるが、実際には爽快この上もなかったと好評であった。 窮すれば通ず、というよりは、けがの功名であった。夜、遅くなればオーロラを仰ぎ見ることができるかもしれない?

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●温水洗浄ホース

今や我が国では、シャワー付きトイレ(温水洗浄便座)の普及率は一般家庭でも73・5%(内閣府H/P 平成24年3月)だとか。ホテル等宿泊機関ではさらに高いと思われる。しかしながら、フランスなどのビデを除いて海外諸国ではあまり見かけない。今回、フィンランドの多くのホテルで見たのはトイレの洗面台の蛇口から白いホースが別につけられていて、これがトイレまで届くようになっていたことである。ホースの先の放水口の手前にある握りを押すと適温の水が出る。つまり、必要部分を洗浄することもできるらしい。 できるらしい、というといかにも無責任であるが、このことについてはホテルに聞いてみようと思いつつ、失念したからである。インターネットで調べてみるといろいろな使い方が紹介されていた。簡易ビデという説明も聞いたし、トイレの掃除用に使えるという人もある。いずれにしても多目的に使えて便利ではないか。目下、正確なところを確認中であることを申し添える。正確にご存知の方は後学のためにも教えてほしい。多分設置費用は我が国のそれよりはずっと軽微であり、大型の改良工事をする必要もあるまい。これであれば、もっと簡単に設置できそうである。

5)食事

北欧では朝食は豪華である。トーストやライ麦パン、北欧独特のクネッケ(フィンランドではネッキレイペと呼ぶらしい)と呼ばれるサラッとした香ばしいビスケット状の固パン、ヨーグルトや野イチゴなどのベリー類、ボールいっぱいのマーマレード、数種類のチーズや豊富なハム、ベーコンやソーセージ類、卵料理に加えて、スモークサーモンやニシンのマリネなど。青果類はトマトやサラダ菜など。 ついついお皿を抱えて幾度もお代わりをしたくなる。北欧であってもヴァイキングとは呼ばない。ブッフェが一般的である。

●ラップランドの郷土料理

トナカイの肉がローストでサンドウィッチに乗せられていたり、ジャガイモと一緒に煮込まれたスープは腹の底から温まる素朴なおいしさ。2杯,3杯とお代わりをする人もいた。サーモンステーキや蒸した白身の魚も地元ではよく食される。ベリー(野イチゴなど)のジュースはさわやかな味でこれも好評。北欧では、サラダや新鮮な果物が少ないというのが定評であったが、近年では外国からの旅行者が多くなったこともあるかもしれないが、日本人旅行客からは昔ほど野菜不足で不評を買うことはなくなった。

6)アトラクション
各地でのアトラクションは、今回のメンバーは障がいのある方や年齢層が幅広いといってもことさら特別に設営したものはなかった。とは言え、一番の目的であるオーロラ探勝や屋外でのアトラクションをより楽しむために主たる目的地をラップランドのハリニヴァにしたことはそれ自体特別に設営したと言えるかもしれない。この地は、中心地ロヴァニエミから北へ230㎞、ムオニオ川を渡ると対岸はスウェーデン。ムオニオの自治体はそれ自体が面積2038㎢、人口は2369人(2/13,2013)、人口密度は1.24人という希薄さである。積雪期間はフィランドでは一番長く、職業専門学校には最上級のスキー指導者養成クラスもあるとのこと。

今回のアトラクションでは、ヘルシンキの市内観光が最初であった。真っ白に凍結したフィンランド湾の上で記念写真を撮るという得難い経験があった。公園では、この国の代表的な音楽家シベリウスの像の前にはロシアからの観光客がいっぱいであった。

ロヴァニエミでは、サンタ村での楽しいひと時、北極圏を示す線の上にみんな並んでポーズをとった。そして、サンタクロースとの会見は今回みんなが期待していたイベント。世界中のこどもにクリスマス・プレゼントを届けているサンタさんであるが、今回はこちらのグループが日本からお土産を持って行った。大きなサンタさんはメンバーひとりひとりと言葉を交わし、一緒に「上を向いて歩こう」を歌った。あの忙しいサンタさんが30分も時間を取ってくれたのはプレゼントが効いたのかも?

この日の夜、10時半ごろロビーに集まって凍てつく町中へ出ていき、オウナス川の川岸公園へ急いだ。ラップランドサファリという看板があった。遊歩道は歩くたびにギチギチと心地よい音を立てる。11時半ごろ、川向うのきらめく星空に時々白い雲のようなものが浮いたかと思うと、刷毛ではいたように左から右へ動き始めた。途端にみんなが叫んだ、「見えた!オーロラだ!」 初めて見た北極圏の夜のページェントにみんな感動した。ホテルへ帰る途中、大通りにある大きな気温表示計は-15とあった。

ハリニヴァでは、トナカイ牧場訪問、ムオニオ川とスウェーデンへの雪道散歩、ハスキー犬とのふれあいと犬ぞり体験、スノーモービルでの雪原ドライブ、そして深夜のオーロラ探勝であった。

トナカイ牧場は、ハリニヴァから30分ほど戻った丘陵地を少し入ったところにあり、この日もよく晴れていた。雲一つない澄んだ青空と物音一つしないどこまでも白く静寂な世界が広がっていた。トウヒやシラカバの木が立ち並び、ときどき吹いてくる風に木々に積もった雪が飛び散る。乾いた粉雪は日差しを受けてまぶしく光る。これこそダイアモンドダストであろう。青空に飛び散り、銀色に輝くシャワーは素晴らしい自然の贈り物だ。トナカイのそりには数人ずつ乗り、牧場の中のコースを歩く。サーメの青年は、2頭ずつつないだそりを見事に操っていく。

ハリニヴァはそれ自体大きなホリディセンターというだけあって、様々な冬のアクティビティが準備されている。ハスキー犬でのツアーや犬ぞり体験も楽しい。440頭のハスキー犬は大人気である。生後5週間のパピー(子犬)は何とも愛くるしく、メンバーたちにとっても楽しいひと時であった。犬ぞりは、かなりのスピードで走るので、歩行に障がいのある人は足を前に投げ出すようなスタイルをとり、後ろから介助スタッフが支える形で補助することで楽しんでいただいた。

スノーモービルは、後ろにそりをつけた台車の箱に8~9人が乗り、2台前後して雪原をドライブした。凍結したムオニオ川の雪原を走り、やがて森の中へ進む。白一色の雪原の中にできた道にはところどころ交差点があり、ガソリンスタンドの案内があったのは何とも面白い発見であった。1時間余りの雪原の旅はメンバーにとっては素晴らしい経験であったと思う。

7)防寒着
こうして、毎夜空を見上げていたが、時々霞棚引くように空の向こうがうっすらと白くなる。次の瞬間には龍が登っていくような動きに変わる、そしてまた星が瞬く。写真で見るような豪華ないろどりはなかなか見られなかったが、ラップランドの4晩のうち、3晩はオーロラを見ることができた。ツアーによっては、オーロラハンティングというプログラムが準備されていてオーロラが出そうな夜、クルマでもっと深い森の中や暗い川べりなどへ走って行って空を見上げて待つのだそうである。しかしながら、我々は、ホテルから毎夜数分歩くだけで川岸へ行くことができ、各々のペースで過ごすことができたのはラッキーであったと思う。もちろん車いすの方々も介助スタッフが前後を支えて雪の坂道も難なく行動することができたことは喜ばしいことであった。ハリニヴァに3泊の滞在中、戸外でのアトラクションは殆どの場合、レンタルの防寒着を身に付けた。上下つなぎの防寒着、マスク、手袋、そしてブーツである。夜間は、氷点下25~30℃になるので2~3時間も戸外にいるオーロラ探勝では必需品である。ホテルにチェックインするときに借りて、滞在中適宜着用する。おかげで、寒がり屋の筆者も快適そのもの、重くて何とも動きづらいが寒さはほとんど気にならない。凍てつくような星空のもと、じっとしているとやがて眉毛がバリバリしてくる。そして、マスクの息の当たるところあたりがこわばってくる感じがする。手を当ててみると“つらら”が下がっている。

5、おわりに、

9日間の旅は、素晴らしかった、と喜んでいただけた。極寒の地に行くことで、防寒対策はどうするのか、寒さには耐えられるだろうか、オーロラは見えるのだろうか? ガイドブックでは楽しさいっぱい!など様々な説明が書いてあり、テレビの旅番組でもよく紹介されていたが、やはり不安はあった。できるだけ多くの情報を入手し、アクセシブルトリップをよりうまく準備するための工夫と努力をした。 加えて、手配会社の協力とご参加各位の相互支援で多くのことがうまく運ばれた。 とりわけ、ご参加のみなさんが探究心旺盛にいろいろなことに挑戦されたことでこの旅行がさらに実り多いものになっていった。心配していた寒さは、幸い天気に恵まれたこともあって、白い大地は乾燥していて、雪はさらさらしており、凍結した道路は車いすがめり込むこともなかった。戸外に出ると鼻がツーンとしてくるがレンタルの防寒着は強い味方であった。午後、陽射しが強まって温度が‐5℃近くまで上がってくると春風に吹かれているような爽快感さえ覚えた。その一方、ホテルやレストランなど屋外に入ると見事に空調が保たれており、スタッフはシャツ姿で仕事をしている。極寒の地における住宅設備の素晴らしさとしゃれたインテリアにこの国の誇らしさを感じた。

ラップランドは、日本流にいえば僻地にも該当する地域かもしれないが、町や道路は見事に整備されており、首都ヘルシンキとなんら変わらない快適さが作られており、地域の人たちの生活には豊かさが感じられる。社会資源も整っており、バリアフリーの観点からもよく配慮されている。社会資本がうまく投じられているのであろう。近年、フィンランドは世界でもトップクラスの豊かな国として位置づけられていることはよく聞いているがそれを実際に感じたような気がする。

今回の旅行で、もし途中で病人が出るとか、何らかの予期せぬ事態が発生したら困る、ということで旅行先各地の医療機関なども調べておいたがこれらの施設にお世話になることもなかった。人にもよるが、飲料水もフィンランド中どこへ行ってもミネラルウォーターを買う必要もなかった。俗にいうウィンタースポーツや様々なアクティビティは、老いも若きも、障がいのある人もない人もみんな一緒に楽しめる、そんな旅であったと思う。いくつかの反省点はあるが、これは備えさえあれば十分に対応できるであろう。今回の旅では確かにラップランドに「世界一美しい空」を見ることができた。

2013年4月17日

小野 鎭 記

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篠塚千弘

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